2013年2月10日日曜日

【ふくしまの声】2/8(金)夜8時~第1回「渡利の子どもたちは今」

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番組について

ライブ番組「ふくしまの声」
第1回 渡利の子どもたちは今
ゲスト:菅野吉弘さん(セーブ渡利キッズ)

東京電力福島第一原発事故から間もなく2年。地震や津波、
そして原発事故のニュースは次第に減り、人々の記憶からも
徐々に薄れつつある。
徐々に震災の風化が進む中、今、原発被災地域で何が起きているのかー、
また、被災者は何を考えているのかー。OurPlanetTVでは、2月より
毎月1回、現地の声を伝えるライブ番組「ふくしまの声」をスタートする。

第1回目は、「渡利の子どもたちは今」
福島市内でも比較的、放射線量が高く、特定避難勧奨地点の検討も行われた渡利地区。
ここで、一昨年2011年の5月から、子どもたちを守る活動に取り組んでいる、
セーブ渡利キッズの菅野吉弘さんにお話を伺う。

※この番組は、様々な方からのご質問やご意見をお待ちしています。
また出演者の自薦、他薦も受け付けています。

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タニムラボレター No.006 ヒマワリが土壌のセシウムを除去する?


タニムラボレター No.006 ヒマワリが土壌のセシウムを除去する?





収穫時のひまわりの様子
 土壌の有害物質を生物の働きで減らすファイトレメディエーションという方法があります。ファイトレメディエーションは、放射能で汚染された土壌にそれを吸収しやすい植物を植え、植物が生長と共に汚染を吸収するので、収穫して取り除いたあとの土壌汚染が減少するという考え方です。チェルノブイリ被災地では菜の花を使った土壌回復の取り組み「ナロジチ再生・菜の花プロジェクト」が行われています。(本誌447号参照)。福島原発事故後、ヒマワリを利用して土壌中の放射能を浄化しようという取り組みも各地で行われたそうです。
 ファイトレメディエーションに利用できる植物は、単純に植物内の放射性セシウムの量が多いだけでなく、畑の面積に対してたくさんの植物を植えることができ、大きく育つものが適しています。根の形状も植物によってさまざまですが、根がちょうど土壌の汚染の濃い部分に複雑に広がるものの方が効率的な汚染の吸収ができると考えられています*1。
 土壌の放射能を植物に吸収させても、放射能が消えてなくなるわけではありません。放射能は土壌から植物へ場所を移動するだけなので、あわせて放射能を含んだ植物をどうするかも重要な課題です。
 
 当室ではヒマワリが土壌から吸収する放射能の量を調査しました。栃木県北部の試験農場は事故後に耕起した畑です。土壌の放射能は表面から深さ10cm程度まで均一化されており、Cs-137:0.8~1.0×103Bq/kg、Cs-134:0.4~0.5×103Bq/kgでした。それより深いところは不検出(100Bq/kg以下)でした。
 試験農場で今夏に3か月間ヒマワリを栽培して9月に収穫しました。ヒマワリは高さ約1.5~1.8mに成長し、花が下を向き葉がしぼんだ時期に収穫をしました(写真)。種は花から取り出して天日干しした状態で、茎と葉は洗浄後90℃で一日加熱乾燥し細かく砕いた状態で放射能測定を行いました。乾燥状態の放射能測定結果から生状態の放射能量に換算したところ、セシウム137と134の合計量は、種が約2Bq/kg、葉が40~70Bq/kgでした(表)。
表:ヒマワリの放射線測定結果(生換算)
測定器:NaIシンチレーション式スペクトロメーター(EMF211), 検出限界3σ, 茎と葉は乾燥状態で測定した結果を生質量に換算して表示, 産地:栃木県北部試験農場, 収穫:2012年9月, 土壌の違いは肥料の種類の違い。
 






 ヒマワリの栽培によって、土壌のセシウムの何割が除去されたかを計算します。実際の農場のバラつきは大きいのですが下図のように1m2あたりの概略で考えます。この範囲におよそ25本のヒマワリが育ちました。ヒマワリ25本では、種1000g、茎1000g、葉500gが収穫できました。土壌の放射能は10cmの深さでセシウム合計1.2~1.5×103Bq/kgでした。1m×1m×10cmの体積を占める土壌の質量は、空隙も含んだ土壌の密度を1.3g/cm3とすると130kgです。この範囲の土壌に含まれるセシウムは15.6~19.5×104 Bqで、ヒマワリ25本によって吸収したセシウムは合計20~40Bqでした。よって、土壌のセシウムの0.01~0.03%がヒマワリに吸収されたという結果でした。
 試験結果からは、ひまわりによる放射能の除去はごく微量だということが言えます。今回の結果は、昨年に農林水産省が行った除染実証結果*2の単位面積当たりの吸収量は、作付け時の土壌の放射性セシウムの約1/2000(0.05%)であり、効果は小さいという結果も支持します。
 しかし、希望が持てるはなしもあります。放射能を吸収しやすい植物を作ったあとの畑では、次の作物が放射能を吸収しにくくなるという報告(本誌447号)があります。セシウムは土壌の分子に捕えられると、水中に溶けだしにくくなることが知られていますが、土との相互作用の違いによって水溶性セシウム、交換態セシウム、固定態セシウムの3つに分類することができます。水溶性>交換態>固定態の順に植物に吸収されやすいのです。水溶性セシウムの量は全体のごくわずか(0.2~5%)ですが植物への移行を支配する重要な成分です*3。この水溶性セシウムがヒマワリなどによって除去された結果、裏作の植物が吸収するセシウムが低く抑えられるのではないかと言われています。今後も長期的に作物への放射能移行の観察を続けていくことが必要だと考えます。
*1 jssspn.jp/info/nuclear/cs-1.html
*2 www.s.affrc.go.jp/docs/press/110914.htm
*3 農技研報B 36, 57-113 (1984)

タニムラボレター No.005 特別報告 茶葉の放射能汚染


 夏のある日、原子力資料情報室のスタッフが放射能検査済みという表示つきの埼玉県産の茶葉を購入しました。検査済みのお茶なら安心して飲めるだろうと考えての購入でしたが、実際に放射能測定をしてみると約300Bq/kgの放射性セシウムが含まれていたのです。お茶の放射能基準値は飲料水の状態で10Bq/kg以下ですが、流通する茶葉からこのような高い値が検出された事に驚きました。
 お茶の入れ方や濃さはひとそれぞれです。抹茶では茶葉をそのまま摂取します。はたして流通している茶葉や抹茶は摂取する状態で本当に放射能基準値を満たしているのか? 今回は特別に茶葉を対象に調査を行いました。
産地別 抹茶の放射能測定結果
茶葉の産地別放射能測定結果(各県1銘柄のみ)
測定器:NaIシンチレーション式スペクトロメータ(EMF211)、測定時間:120min、測定容器:350mlポリ容器

 抹茶(粉状態)の放射能測定結果を図にまとめます。日本地図に星印で示された産地(および産地表示なし)の抹茶を各1銘柄購入し放射能を測定しました。このうち、埼玉(セシウム合計120Bq/kg)、鹿児島(80Bq/kg)、静岡(40Bq/kg)の3種類から放射性セシウムが検出されました(検出限界14Bq/kg)。
茶葉から飲料水の茶へのセシウム移行
 検査基準*1に基づいて、放射能測定済み表示付き茶葉を抽出して二番茶まで放射能測定を行いました。この方法は私が普段飲むお茶よりもかなり濃い入れ方だったので安全側にたった検査方法という印象をうけました。茶葉の状態でセシウム合計が290Bq/kgあったところ、飲料水の状態では一番茶で4.3Bq/kg、二番茶で2.6Bq/kgの結果でした(検出限界約1Bq/kg)。移行係数は一番茶でおよそ1.5%(0.7~2.4%)、二番茶で0.9%(0.4%~1.6%)でした。
埼玉県の回答 ~基準値と流通の関係~
 抹茶は茶葉そのものを摂取するので一般食品の基準を適用します*2。当室の測定で基準値の100Bq/kg以上の放射能が検出されたため(137Cs:71.2±6.0、134Cs:43.5±6.0Bq/kg)県の担当部署へ連絡しました。
 県の追跡調査結果によると、この抹茶は2011年度産だが今年8月に抹茶に加工され袋詰めされた製品でした。同じロットを認定検査機関が放射能測定をしており、その結果は87Bq/kgだったので現行の放射能基準値を満たすものとしています。
 FAXで送られてきた検査成績書には、137Cs:57.1、134Cs:29.8Bq/kg(不確かさ表示なし)と記されていました。この一つのロットは10kg以上の量で構成されているようです。通常の放射能検査ではU-8容器という100mlの容器が使われています。大量の製品のたった一部を取り出して検査することで全体が基準値以下であることを保証することはできるのでしょうか? ロット内の放射能のバラつきがどの程度あるのか? 流通するすべて製品を基準値以下にするためには、現状の検査システムは不十分だと考えます。
 抽出試験では、茶葉を飲料水へ加工すると単位質量あたりのセシウム量が約2%に減少しました。このことから飲料水のお茶を10Bq/kg以下にするための茶葉の最大放射能は500Bq/kgとなります。現状は(茶葉の種類にもよりますが)、500Bq/kgの茶葉が流通可能な状況だと言えます。
 鹿児島産の抹茶から放射能が検出されましたが京都産からは不検出です。本当に鹿児島産の抹茶が放射能に汚染されているかは疑問です。何故なら茶の産地表示はその比率が50%以上なら可能だからです。
 今回の調査結果から現状の放射能検査システムの課題が見えてきました。大切なのは基準を守っているかどうかではなく、だれもが無用な被ばくをしないでよい社会の仕組みを作ることです。

*1:厚生労働省の資料(食品中の放射性物質の試験法について)によると、飲用に供する茶は、荒茶又は製茶10g以上を30倍量の重量の熱水(90℃)で60秒間浸出し、40メッシュ(目は0.5mm程度)相当のふるい等でろ過した浸出液を測定試料とする。

タニムラボレター No.008 空間線量率から土壌の汚染を算出できるか


空間線量率から土壌の汚染を算出できるか 
 環境の放射能汚染を知る指標には、空間放射線量を表すμSv/hと土壌の汚染濃度を表すBq/kg, Bq/m2などがあります。空間放射線量は誰でも比較的簡単に測定することができますが、ベクレルで表す土壌の汚染は高価な測定機器や手間が必要な関係で多くの地点を測定することが難しいのが現状です。
 農林水産省は、蓄積されたデータを基に空間放射線量から土壌の放射能汚染を換算する計算式を発表しています [1]。しかし換算式は万能ではありません。地点ごとに土壌の状態や生育している植物の影響が違いますが、それらを考慮にいれることができません。また、深さ15cmまでの土壌の放射能汚染が均一な場合にあてはまる数式であり、環境の大部分を占める汚染の偏りがある土壌を表していないのです。
 実際の空間放射線量と土壌汚染の関係はどうか、土壌汚染の深さ方向の偏りはどうか、今回は試験農場のデータから検証します。
 試験農場の空間放射線量はおおよそ、地上1mで0.37μSv/h、地上5cmで0.40μSv/hでした。土壌採取は円筒形の筒を用いて行い、約5cmの深さごとに分けて測定しました。土壌のセシウム濃度は表面10cm程までが約1.8×103 Bq/kgで、それより深い部分では不検出(50 Bq/kg以下)でした。
 このデータに農水省の換算式[2]を当てはめると、土壌の放射性セシウム濃度は0.8×103Bq/kgと算出されます。しかし、実測結果は、表面6cmまでで換算値の2倍以上、15cmまでの平均値(約1.2~1.4×103 Bq/kg)でも換算値より5割以上高い汚染でした。なお事故以来、耕していない畑では表面1cmの土壌汚染が1.0×104 Bq/kgを越えています。
 放射能の影響を考えるには、直接触れて土埃として舞い上がる、土壌表面の汚染状況についても正確に把握する必要があると考えます。換算式は参考程度とし細かく丁寧な実測が必要だと改めて感じました。
(谷村暢子)
 [2]土壌の放射性セシウム濃度[Bq/kg]=空間線量率[μSv/h]×2390-84

暮らしの中の放射能 第15回 東北の野菜、肉は大丈夫なのか?




公開日: 2012/12/03
放射線の影響を回避しながら生活するための、暮らし情報番組「暮らしの中の放射能」。­とくに、放射線の影響が大きい東北、関東,首都圏の市民を対象として、­1.原発の現­状、2.汚染の状況と対策、3.食品汚染の実態と対策、この3点を主な内容に、原子力­資料情報室共同代表・事務局長の伴 英幸(ばん・ひでゆき)が語ります。
第15回目は、東北の肉、野菜は大丈夫なのかについて。聞き手は、人材育成コンサルタ­ント 人材育成技術研究所所長の辛淑玉(しん・すご)さんです。

暮らしの中の放射能 第14回 放射能は消せるのか?




公開日: 2012/11/21
放射線の影響を回避しながら生活するための、暮らし情報番組「暮らしの中の放射能」。­とくに、放射線の影響が大きい東北、関東,首都圏の市民を対象として、­1.原発の現­状、2.汚染の状況と対策、3.食品汚染の実態と対策、この3点を主な内容に、原子力­資料情報室共同代表・事務局長の伴 英幸(ばん・ひでゆき)が語ります。
第14回目は、放射能は消せるのか?について。聞き手は、人材育成コンサルタント 人材育成技術研究所所長の辛淑玉(しん・すご)さんです。

2013/01/25 CNIC Ust 福島第一原発事故の汚染・除染・被曝について

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長谷川健一さん講演会 飯舘村 酪農家の叫び 3.11からの記録

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